事業計画

日本薬剤師会 平成30年度事業計画

世界的にも突出した速さで少子高齢化が進む我が国において、国民皆保険・皆年金を維持して次世代に引き継ぐことを目指した改革への取組が急務となっている。本年度は、診療報酬・介護報酬等の同時改定や医療及び介護等に係る各種計画の節目になる年であり、医療・介護提供体制の充実、疾病予防・健康づくり、負担能力に応じた公平な負担と給付のあり方、診療報酬及び医薬品等に係る改革等を有機的に連携させて着実に取り組んでいくことが求められている。こうした中で薬剤師と薬局は、「患者のための薬局ビジョン」(平成27年10月公表)において道筋が示されたように、住民・患者から信頼されて選ばれる「かかりつけ」としての機能と役割を発揮し、地域包括ケアシステムの構築に貢献していかなければならない。

「経済財政運営と改革の基本方針 2017」(骨太の方針)では、調剤報酬について、対物業務の適正化と対人業務の重視並びに薬局の機能分化のあり方を検討するとともに、さまざまな形態の保険薬局が実際に果たしている機能に応じた評価をさらに進め、患者本位の医薬分業の実現に向けて、かかりつけ薬剤師が地域における多職種や関係機関と連携して、服薬情報の一元的・継続的な把握等の機能を果たすことを推進していくことが示された。平成 28 年4月より医薬品医療機器等法に位置付けられた「健康サポート薬局」は、かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、薬や健康、介護用品などに関する相談にも応じる地域包括ケアシステムの中で重要な役割を担うものである。本会では、同薬局に常駐が義務付けられた薬剤師の資質確保のための「健康サポート薬局研修」を引き続き提供し、着実な普及推進を図っていくこととしている。

一方、昨年は、偽造医薬品の流通や調剤報酬の付け替え請求、無診察処方という、薬剤師・薬局が関わる不祥事が続発した。いずれも経済的な視点での不正行為であり、薬剤師・薬局が長年にわたり築き上げてきた国民の信頼を貶めるものである。こうした事態を真摯に受け止めるとともに、すべての薬剤師が倫理観と専門職としての矜持をもって、社会から信頼される医療人として業務に取り組んでいかなければならない。「薬剤師綱領」に基づく具体的な行動の価値判断の基準として、薬剤師倫理規定を改定した「薬剤師行動規範」に基づいて行動し、社会に対する責任を全うしていくことを強く求めるものである。

医薬分業制度については、国の方針として推進していくことが明確にされているが、規制改革実施計画(平成27年6月閣議決定)に基づき一部改正された保険薬局の指定に係る留意事項通知に伴うルール適用(平成28年10月)において、いわゆる敷地内薬局を誘致する動きが散見されている。患者の薬物療法を安全でより効果的に確保するためには、処方箋の確認と調剤は処方箋を交付する医療機関から独立した薬局において実施されなければならないものである。保険薬局の指定に当たっては、医薬分業制度の円滑な推進が確保されるよう、留意事項通知が厳格に適用されることを引き続き強く求めていく。そして、医薬品の一元的・継続的な薬学管理指導と医薬品等の供給と地域包括ケアシステムの中で地域住民の相談役として役割を担う、かかりつけ薬剤師・薬局の普及推進を図るとともに、患者の医療安全確保のため、薬局薬剤師と病院(診療所)薬剤師の連携を一層推進する。

以上を基本として、都道府県薬剤師会等との連携の下、本年度は診療報酬・調剤報酬、介護報酬のあり方、薬学生を含む入会促進施策等による組織強化、薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂版への対応を含む薬剤師養成教育の充実に向けた諸活動、JPALS による薬剤師の自己学習・研鑽への支援など、国民の健康な生活の確保・向上に寄与するため、以下に掲げる事項に取り組む。

  1. 薬学及び薬業の進歩発展に関する事業
  2. 薬業を通じて医薬品の適正使用等医療貢献に関する事業
  3. 公衆衛生の普及・指導に関する事業
  4. 薬事衛生の普及・啓発に関する事業
  5. 地域医療への貢献並びに医療安全の確保に関する事業
  6. 災害時等の医薬品の確保・供給に関する事業
  7. 都道府県薬剤師会等との連携、協力及び支援に関する事業
  8. 会員に対する年金給付等の特定保険業
  9. 会員の福利厚生事業
  10. 損害保険代理業及び生命保険代理業
  11. 施設及び土地の貸与事業
  12. その他

1.薬剤師養成のための薬学教育への対応 [公益目的事業。(1)に関連]

  1. 薬学生実務実習受入体制・指導体制の充実・強化及び「薬学教育モデル・コアカリキュラム改訂版」への対応
  2. 薬学教育全般の諸課題への対応
  3. 大学及び関係団体との連携強化

2.生涯学習の充実・学術活動の推進 [公益目的事業。(1)(7)に関連]

  1. 1)生涯学習支援システムJPALSの運営・普及
  2. 2)e-ラーニングシステム配信コンテンツの制作
  3. 3)薬学5団体による「薬剤師生涯学習達成度確認試験」実施への協力
  4. 4)日本薬剤師会学術大会(石川大会)の開催
  5. 5)研究活動の促進と研究倫理に関する研修の実施
  6. 6)都道府県薬剤師会、地域における薬剤師の研究に係る倫理審査の体制整備への対応

3.薬剤師・薬局機能の充実及び医療安全対策の推進[公益目的事業。(2)(3)(4)(5)(7)に関連]

  1. 1) かかりつけ薬剤師・薬局の推進を図るための各種対策
  2. 2)医薬分業の質的向上を図るための各種対策
  3. 3)「薬と健康の週間」への対応
  4. 4)セルフメディケーションへの支援
    (新たな医薬品販売制度での相談応需体制の推進、薬局製造販売医薬品に関する普及・啓発)
  5. 5)薬局等における医療安全管理体制の整備・充実に関する事業
  6. 6)薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業継続実施への支援・協力
  7. 7)医療ICT化に対応した活動

4.医薬品等情報活動の推進 [公益目的事業。(2)(7)に関連]

  1. 国民への医薬品等情報提供サービスの拡充・推進
  2. 国・企業・学会等の情報の収集・評価・伝達
  3. 医薬品リスク管理計画(RMP)を念頭においた薬剤イベントモニタリング(DEM)事業の実施

5.公衆衛生・薬事衛生への対応 [公益目的事業。(3)(4)(7)に関連]

  1. 学校薬剤師活動の推進支援
  2. 過量服薬・自殺予防等対策
  3. 危険ドラッグ等の薬物乱用防止啓発活動の推進
  4. アンチ・ドーピング活動の推進(スポーツファーマシストの活動支援等)
  5. 感染症等対策
  6. 都道府県薬剤師会関係試験検査センターを活用した調査実施等
  7. 食品の安全性確保への対応

6.地域包括ケアシステムを踏まえた地域医療、介護、保健等の提供体制への取り組みの推進 [公益目的事業。(5)(7)に関連]

  1. 医療計画等各種計画、地域医療提供体制等への参加・連携促進
  2. 多職種連携(薬薬連携を含む)の推進
  3. 在宅医療の推進のための各種事業及び調査・研究
  4. 健康サポート薬局の推進
  5. 医療用麻薬、無菌製剤の適正な供給、管理のための環境整備

7.医療保険制度・介護保険制度への対応 [公益目的事業。(5)(7)に関連]

  1. 調剤報酬体系における課題、在り方等に関する調査・研究及び検討
  2. 調剤報酬請求事務の適正化
  3. 社会保険指導者の研修・育成
  4. 薬価基準収載品目の検討
  5. 後発医薬品の使用促進への対応
  6. 医薬品産業政策及び流通問題への対応

8.災害時等の医薬品の確保・供給への対応 [公益目的事業。(6)(7)に関連]

  1. 災害時等における医薬品等の確保・供給のあり方の検討
  2. 災害時の救援活動等への準備・対応

9.都道府県薬剤師会等との連携 [公益目的事業・法人会計。(1)~(10)に関連]

  1. 日本薬剤師会学術大会(石川大会)の開催(再掲)
  2. 都道府県薬剤師会の活動に対する支援・協力
  3. 日本薬学会等学術団体との連携

10.国際交流の推進 [公益目的事業。(1)~(6)に関連]

  1. FIPへの協力・支援及び参加促進
  2. FAPAへの協力・支援及び参加促進
  3. WHO等国際組織活動への協力と交流促進
  4. 各国薬剤師会等との交流

11.その他

  1. 職域部会(薬局、病院診療所、製薬、行政、学校、農林水産薬事、卸)の活動推進 [公益目的事業]
  2. 薬剤師職能、本会事業(各種公益活動)の広報並びに周知 [公益目的事業・法人会計]
  3. 日本薬剤師会雑誌の発行 [公益目的事業]
  4. 会員拡充対策の推進 [法人会計]
  5. 薬剤師賠償責任保険制度等の普及 [収益事業等]
  6. 薬剤師年金保険制度の継続的な運営(新規加入の促進等)[公益目的事業]
  7. 共済部等福利制度の運営 [収益事業等]
  8. 日本薬剤師国民年金基金等への支援 [法人会計]
  9. 薬学生の活動に対する支援・協力 [公益目的事業]
  10. 日本薬剤師会館建設に向けた対応 [公益目的事業・収益事業等・法人会計]
  11. 各種法規・制度への対応 [公益目的事業]
  12. 税制改正・政府予算案等への対応(消費税を巡る問題への対応を含む)[公益目的事業]
  13. 薬剤師行動規範の普及・啓発 [公益目的事業]
  14. その他本会の目的達成のために必要な事業